ヨーロッパを旅する前、私が一番見たいと願っていたのが「マッターホルンの朝焼け」です。
朝陽に照らされた金色のマッターホルン。
しかし私の旅行スケジュールだと1泊しかチャンスはありませんでした。
並々ならぬ願望を抱いて、スイスのツェルマットを訪れたんです。
結果、いろんなことやたくさんの人に恵まれ、
奇跡の絶景
を見ることが出来たのですが
重要な反省点
もあったので、感想も含めて記事にまとめました。
ツェルマットを訪れようと思っている方の参考になれば幸いです。
- 朝焼けのマッターホルンを見てみたい
- 旅行でツェルマットを訪れるか検討している
- ヨーロッパで見れる絶景を探している
・氷河特急でツェルマットへ

早朝ドイツのミュンヘンを出発、列車でチューリッヒを経由してフィスプまでやってきました。
フィスプからはいよいよ氷河特急(グレッシャー・エクスプレス)です。
「マッターホルン・ゴッタルド鉄道」の列車に乗ってツェルマットを目指します。

かつての旧ルートでは氷河を望めたことから「氷河特急」の名が付きましたが、現在のルートでは氷河を見ることはできないそう。
氷河特急(氷河急行)といっても平均時速は約34km。
ゆっくり走るのでスイスの山々の景観を楽しむことが出来ます。
しかし、私はこの後ほとんど車窓を眺めることなくツェルマットに到着しました。
それは彼らと出会ったから。

近くに座っていた旅行客グループの一人が話しかけてくれたんです。
聞くと友人6人でパリから来たとのこと。
ツェルマットに到着するまでの約1時間、互いに質問しあったり写真を撮ったりして過ごしました。
これまでに「フランス人は英語を話したがらない」とか耳にしたこともありますが、
その真意はフランス人としての誇りからなのか、はたまたフランスも日本と似た英語教育で単に苦手だからとか、それぞれ理由があると思います。
ただフィリップ達からそういったフランス人のイメージは感じませんでしたし、簡単な英語でのやりとりなのに頬が筋肉痛になるほど楽しかったんです。
例えば、途中で内2人が双子なことに気付いて、
なんてそれだけの会話で盛り上がったり。
英語を話せない恥ずかしさより、彼らの
コミュニケーションを取りたい
相手のことを知りたい
というスタンスと明るさが、私たちを同じようなテンションにされてくれました。
「どこの国だからこうだ」とかではなく、やはり「人次第」なのだということ。
そして
旅の醍醐味は人との出会い
それを実感させてくれた出来事でした。
・ツェルマットの宿は事前に確保すべし

ツェルマットに着いて早々、早速地獄に突き落とされます。
それはまさかの、
今夜の宿が無い
問題。
能天気なもので、ヨーロッパ周遊中は初日以外その土地に着いてから宿を探すのがベースになっていた私たち。
ただドミトリーだと、相部屋の人たちから「〇〇に行くならあそこのホステルが良かったよ」と情報をもらえたのでなんとかなっていたんです。
それがツェルマットでは通用しないんですね。
当日の宿の空きなんて、そんなものはどこにもありませんでした。
駅前の観光案内所に行ってみたら、それはもうものすごい大混雑!
ツェルマットは山岳リゾートを楽しむ登山客やスキーヤーで年中賑わう観光地なんです。
どこか空いている宿がないか聞いてみましたが、やはりない。
対応してくれた美人スタッフさんが申し訳なさそうに言いました。
そりゃそうだ、それしか言えないですよね。
列車を半日乗り継いでやっとここまで来たんですよ。
しかも今夜泊まれなかったらチャンスはもうないんです(泣)
絶対見たいと願っていた「マッターホルンの朝焼け」を見ずして山を下りるわけにはいきません。
どうにかこうにかならないものか、しかし駄々をこねても成すすべもなく。

今夜寝る場所がない。
その事実に打ちひしがれながら途方に暮れていたその時。
突然一人の日本人男性が声をかけてきました。
突然現れたその男性。
もはや仏。
それまで目の前真っ暗だった私には、もはや後光が差しているように見えました。
仏のような男性は一人旅で、同じく宿が取れず観光案内所を訪れていました。
彼が血眼になって調べに調べ、やっと知り得た情報だったのです。
自身も困っていた中、混沌としていたあの場所で全く接点もない赤の他人に助言をするなんて、なんて親切な人でしょう。
それまで平均2,000円のドミトリーで済ませていたので、正直1泊15,000円は驚愕でしかなかったのですが、その一言が頼みの綱であり一筋の光でした。

ここは涙を飲んで決意します。
この経験から自信を持って言えるのは
スイスの宿は出発前に日本で予約する
のが最善だということです。
本来観光を楽しめたはずの時間を、調べたり確認したり絶望するのに使うのはストレスが半端ないので。
これから周遊旅行をする方は、悪いこと言わないので宿は数日前には予約完了するようにしておきましょう。
・一駅手前のテッシュで15,000円の宿に泊まる

というわけで、なんとか間一髪でチャンスを繋ぎとめた私たちは、
「ツェルマット」より一駅手前の「テッシュ」
という町に宿泊することができました。
ツェルマットから約6km離れた場所にあります。
さっきまで名前も知らなかった町に宿泊するって不思議な感じです。

こんなふかふかのベッド、ヨーロッパ周遊中は後にも先にもここだけ。
予想外の出費にはなりましたが、久しぶりに静かに休むことができました。
しかし、のんびりしてはいられないのです。
すなわち、本番は夜明けです。
朝日が昇る前に一駅15分の列車に乗り、ツェルマットの日本人橋というスポットまで行かなければなりません。
絶対に寝過ごしてはならない緊張感もあり、外もまだ暗い早朝に無事起床。
朝早すぎてなかなかチェックアウトできないというトラブルもありましたが無理を言って対応してもらい、なんとか出発することができました。
何が何でもマッターホルンの朝焼けを見たいというのにテッシュに宿泊というリスキーな選択を取るのはもう私だけで十分です。
これから行かれる方は、必ず事前に宿を確保してくださいね。
・朝焼けのマッターホルン

ツェルマットに到着。
ですがマッターホルンが望めるビュースポットに辿り着くまでが勝負です。
寝起きに背負うバックパックが重くてくじけそうになりながらも、時間が迫っているので足を止めず突き進みます。
マッターホルンの朝焼けを見るなら、「日本人橋」へ向かうのが定番。
ただ私たちは、それとは別のビュースポットを見つけたんです。
あと少しで日が昇るというのに大ピンチ!と思ったら、

ででん!!
念願だった、マッターホルンの朝焼けです。
偶然にも迷い込んだ場所でマッターホルンの絶景を目にするという奇跡が起きました。
ただただ興奮と感動で言葉になりません。

ちなみに地図でいうと青丸で囲んだあたり。
赤い印の場所が日本人橋です。
- チャンスはこの日だけ
- 当日に宿の確保
- 夜明け前に一駅手前から出発
- あと一歩のところで道に迷う
- そもそも晴れるかどうか確証はない
状況で結果この絶景ですよ。
太陽が昇るとともに、マッターホルンの輝きもじわじわと変化していきます。
目の前の光景が夢のようで、こんなに胸が高鳴ったのは久しぶりです。
私が見た時の状況は、
3月上旬
朝08:00前から約15分間
これが夏だと朝05:30とかなので、そういった意味でも、私は偶然が重なって運が良かったのだなと思いました。

そして完全に金!
私が撮影したビューポイントはツェルマット市役所の前。
たまたまかもしれませんが、日本人橋と違って観光客にはほとんど出会わず。
この市役所前から見る場合、マッターホルンの下に家々が写りこんでしまうのは否めません。
遮るものがほとんどない見通しの良さで行くと日本人橋からの景色の方に軍配は上がります。
が、個人的にはこの場所でも大満足の写真が撮影できたので気にならなかったです。
もしかしたら他にもマッターホルンが綺麗に見える場所があるかもしれないので、日にちに余裕があるなら街歩きをかねて下見するのもいいなと思いました。
・おわりに
ヨーロッパで一番見てみたかった金色のマッターホルン。
偶然の幸運が重なってこの目で見ることが叶い、本当に嬉しかったです。
身をもって学んだのは、
スイスの宿は日本で事前予約
できるだけ数日滞在をおすすめ
ということです。
これからスイスを旅行しようと考えている方には、くれぐれも余裕を持って計画することをおすすめします。