この度、親知らずを3本同時抜歯しました。
静脈内鎮静法という無痛睡眠治療で。
静脈内鎮静法を選んだ理由は単純です。
歯医者が怖い。
もうそれだけ。切実。
恐怖で歯医者に行けない人の気持ち、すごく分かります。
静脈内鎮静法で親知らずの無痛抜歯治療を終えて
すべての歯科恐怖症の人に伝えたい
と思ったのでこの記事を書きました。
私と同じような不安を抱えている方に少しでも参考になれば嬉しいです。
- 歯医者に行けないほどの歯科恐怖症だ
- 親知らずが気になっているが抜歯が怖すぎる
- 静脈内鎮静法を体験した人の感想が知りたい
Contents
1.歯科恐怖症、親知らず抜歯を決意。

私が幼少の頃は、まだまだ歯医者さんは怖いイメージでした。
- 独特の匂いと治療音のキュイーーーーーン
- 永遠に終わらない四方八方からの局所麻酔
- 新人の先生に「あれ?」と言われながら受けた虫歯治療
などなど…歯医者でのトラウマが思い出されます。
恥ずかしながら、虫歯ができないのをいいことに15年ほど歯医者を避け続けた人生。
そんな私でも、親知らずは見て見ぬふりをするわけにはいかなくなったんです。
遡ると20歳の時、急に口が開かなくなったことがありました。
1.2週間すると何事もなく開くようになりましたが、思い返せばそこから
大体5年に一度のペースで口が開かなくなる
事態に見舞われ、さすがの私もいつかは向き合わねばとドキドキ。
気付いたら上は両方親知らずが生えていました。
意を決して数年前に歯科へ出向いたこともあります。
どこか痛むわけでもなかったのですが、虫歯の有無や親知らずについて確認したかったからです。
その時の先生の見立てだと
- 上の親知らずは両方生えていて虫歯はない
- 下の親知らずは両方横向きで埋没している
現状としては急いで抜歯しなくても大丈夫とのことでした。
「とりあえず様子見」に甘えて早4年、私は嫌な違和感を感じていました。
実は1年ほど前から、
- 右下の埋没親知らずが一部露出し始めた
- 右側の噛み合わせが明らかに悪くなってきた
んです。
これはさすがにヤバいと感じた私はインターネットで
「親知らず抜歯 痛くない 歯医者」
などで検索しまくり、体験談を読み漁りました。
親知らずを抜歯となると「局所麻酔」が一般的ですよね。
痛くないかもしれないけれど、意識がある状態で行われるわけです。
口の中の土木工事を五感フル活用で受け止めるなんて、私にはそんな自信1mmもありません。
なんとかして痛い・怖い思いをせずに親知らずを抜歯することはできないか。
ただそれだけを考えていたある日、見つけました。

調べてみると「静脈内鎮静法」という、私にとっての一筋の光でした。
2.静脈内鎮静法とは

「静脈内鎮静法」は血圧や呼吸を確認しながら
点滴で少しずつお薬を入れていく麻酔方法の1つ
です。
薬が効いてくると眠くなり、処置中の記憶がほとんどないうちに治療を終えることができます。
全身麻酔と少し似ていますが違いははっきりしているんです。
【全身麻酔】完全に意識がなくなり呼吸を止めることになる
【静脈内鎮静法】呼びかけに答える程度の意識があり自発呼吸可能
ぶっちゃけ意識はあるのだといわれても信じられないくらい。
結果を先にいうと私は2回静脈内鎮静法を体験したのですが、麻酔中の記憶は
1回目:全く記憶無し
2回目:開始直後の会話をぼんやり覚えている
という感じでした。
先生に確認したわけではないのでこの記憶も夢なのかもしれませんが。
入院が必要になることが多い全身麻酔と比べると、
静脈内鎮静法は回復が早く日帰りできる
点も大きな違いですね。
大学病院なら保険適用内でできる場合もあります。
私は病院という空間自体に苦手意識があるので、自費ですが無痛リラクゼーション治療に定評のある銀座の審美歯科を選びました。
その決意を聞いた夫。
えぇ、言いたいことは分かります。
でも私は痛いのが何よりも怖いの、怖いもんはしゃーない。
痛くないならお金かかってもなんでもいい!!
3.静脈内鎮静法で親知らず抜歯|初診

私が選んだ歯科は銀座の審美歯科です。
名前が「〇〇 DENTAL OFFICE 」なのですが、「歯科」の文字が入っていないだけでも恐怖心が和らぐような気がします。
口腔外科出身の院長先生で口コミがとても良く、受付の電話でもとても丁寧な印象を受けました。
初診の日。院内に一歩足を踏み入れると、まずその佇まいに驚きです。
ほとんど待つこともなく、呼ばれて診察室に入ると穏やかそうな院長先生が迎えてくれました。
初診は、
- カウンセリング
- レントゲン撮影
- CT撮影
という流れ。
レントゲン撮影の結果、4年前は大人しく埋まっていた右下の親知らずが、やはり一部露出し始めていると。
今のところ痛むわけでもありませんが、親知らずをそのままにしておくと
- 虫歯になる可能性がある
- 高齢になってからでは抜くのが困難
との説明がありました。
360度から確認できるCT撮影では
- 左下は顎の神経に少し接してしまっている
- 下手に抜くと顎や唇に痺れなどが残るかも
という見解に。
約1時間半じっくり先生と相談し、
上は左右
下は右
の3本同時抜歯することに決めました。
はい、自費なので高いです。
私がお願いした歯科では、静脈内鎮静法で親知らずを抜歯するのは1本5万円!
複数だと少し安くなり、私は
3本で10万円
でした。
近所の歯医者さんで抜いたよという方にとっては目が点かもしれません。
私の夫も先日近所で抜いてもらって1本1,000円ちょっとでしたもん。
いやー、私やっぱり歯科恐怖症なんですね。
普段10万円なんて大金ですけど、それでも迷いはありませんでした。
無痛リラクゼーションオネガイシマーーース!!
4.静脈内鎮静法で親知らず抜歯|当日

いよいよ抜歯当日。
- 食事は予約時間の5時間前から禁止
- 水は2時間前から禁止
となっており、緊張感が高まります。
久しぶりの歯医者、初めての親知らず抜歯。そして未知の静脈内鎮静法。
憂鬱すぎて最寄り駅ではつい絶望で立ちすくみました。
到着するとすぐ名前を呼ばれ、速攻抜歯開始です。
全身麻酔のように手術室ではなく、通常の診察台で行われます。
それでも診察台に上がると緊張MAX。
きっと院長先生心の中で「カウンセリングの時に聞いとけや!」ってなったと思いますが、優しいです。
丁寧に説明しながらテキパキと準備を進めてくれます。
私はもうドキドキが止まりませんでした。
淡々と、でも優しい言葉をかけながら先生は私の右手に消毒をフキフキ。
右腕に点滴をチクっとされ、ピリッとした痛みが。
正直採血よりは痛いと感じましたが全然耐えられる痛みです。
左手の人差し指に心拍数・血圧を測るモニターを装着。
部屋の電気がいくつか消され、暗くなりました。
こんな意識ばっちりの状態から本当に眠ってしまうのか、全く信じられませんでした。
不安を感じながらも怖くてつい目をつぶる私。
30秒ほど経って、なんとなく体がじわ~っと沈む感じがしたのだけ覚えています。
とほぼ同時に次の瞬間。
と呼ばれてパッ!て目覚めました。
そう、抜歯終わってたんです。
例えるなら
昼寝で爆睡中に起こされた時
のような感覚でした。
夢を見てたような気もするけど全然思い出せません。
当初1時間半と予定されていたんです、神か。
麻酔が切れるのが怖かったのでその場で痛み止め2錠をいただきます。
まだ麻酔が残っているため、診察台を降りるとフラフラ。
壁を伝いながら受付へ行き、しばらく座って休ませてもらいました。
検索魔の時「止血のために噛んでいたガーゼが血で染まった」なんて体験談を読んで震えていましたが、この歯科では
吸収タイプの止血剤をつめてくれた
ためそんな恐ろしいことは一切なく、安心して帰路につくことができました。
静脈内鎮静法の率直な感想として、
- とにかくあっという間
- ワープ体験ってくらい抜歯の記憶なし
- 痛みも恐怖もない!あるのは安堵感だけ
という、私にとっては天国のような気分で親知らず抜歯を終えたのです。
5.静脈内鎮静法で親知らず抜歯|経過

THE 小心者の私は抜歯を乗り越えてもなお心配はつきません。
それがドライソケットでした。
ドライソケットとは、
抜歯後の傷に血液が溜まる
↓
それが衝撃や刺激で剥がれる
↓
歯槽骨が露出
↓
非常に強い痛みが起こる
という、静脈内鎮静法とは直接関係なく起こる可能性があるんです。
頻度としては稀ですが、インターネットの体験談では結構出てくるのでビビっていました。
中には抜歯数日後、急に激痛が走るなんてこともあるらしいので恐ろしかったです。
自分で気を付けられる対策は、
- 熱いお風呂など血行が良くなることは避ける
- 飲み物を飲むときに思いきり吸わない
- 舌で傷口を触らない
- とにかく安静にする
などなど。
私はうがいの際も、水を口に含んだら歌舞伎役者のようにゆっくりと顔を回す徹底ぶり。
その結果、大丈夫でした!
顔の腫れについても気になりますよね。
私の場合、ピークでも想像していたほどは腫れませんでした。
むしろ、
こういうコンディションの顔の日、全然ある。
程度の腫れで、ちょっと凹んだくらい。
そういえば予想していなかったのですが、私は抜歯後しばらく口が開かなかったです。
口を開けようとすると痛くて、1cm以上開くことができませんでした。
そんな時はスポット用の小さい歯ブラシを使うのがおすすめです。
1週間後に抜糸しましたが、これは本当一瞬で終わります。
と言われて余裕こいていたら、
じーーーーーん
って微妙にしみたのが不意打ちすぎてビックリ。笑
静脈内鎮静法がいかに痛み知らずだったのかと実感しました。
一般的には
穴がふさがるまで数ヵ月から約半年
と聞いていましたが
体感では2週間くらいで違和感なくなった
と記憶しています。
特に穴に食べ物が詰まって大変とかもなかったです。
6.静脈内鎮静法で親知らず抜歯|術後の痛み

親知らず抜歯後の痛みについて私の感想です。
普通に生えていた上の2本はすぽっと抜いてもらったので、ほとんど痛むことはなく。
私は右下の親知らずが埋伏歯だったので、切開して縫ったため痛み止めが必要でした。
痛みのピークは、
当日の夜、痛み止めが切れた瞬間
にズキンズキンときただけ。
その後は効果が切れる前に飲み続ける戦法でいったので痛みを感じることはなかったです。
3日目からは飲む間隔をあけて、6日目からは飲まずに過ごすことができました。
ただ、嚥下痛はまぁまぁ強かった。
切開した箇所の痛みは痛み止めで解決できましたが、
- 口が開かない
- 顎が筋肉痛のような痛さ
- 抵抗力が落ちて口内炎ができる
- 縫った糸の不快感
など、地味に耐えなければならないところはあったという感想です。
以上が親知らず3本同時抜歯(内1本埋伏歯)した私の痛みレポでした。
抜歯後の痛みに関しては、きっと本当に人ぞれぞれなんだと思います。
歯のイラストでよく見かけるのって、足みたいな根っこが描かれているものが多くないですか。
私の親知らずは全て根がまとまっていたので、割と抜きやすかったそうです。
抜歯にかかった時間は術後の痛みの強さに比例する
ため歯の位置や生え方、担当する歯科医によっても個人差があるということですね。
となると例えば、
根が思いっきり3つ4つに分かれていて
水平に横向きで埋まっていて
炎症起こして抜く前から痛くて
顎の骨ガリガリに削らないと抜けなくて
それを慣れていない先生があーでもないこーでもないと懸命に抜歯したら・・
院長先生には本当に感謝です。
7.静脈内鎮静法で親知らず抜歯|術後の食事

最後に親知らず抜歯後の食事について、体験談とともにまとめておきます。
ひとまず
麻酔が切れてから食事を取る
ようにしましょう。
抜歯後数時間は麻酔が効いたままです。
この状態で食事をすると、気が付かないうちに噛んでしまったり火傷してしまったりするのでご注意を。
そして麻酔が切れた後も
しばらくの間は固形物を食べられない
と思った方がいいです。
固形物以外でも、
- 香辛料
- アルコール
- 意外と麺類
は避けた方が身のためです。
うどんとか食べる方も多いですが、私はドライソケットを避けるため念のため麺類も外していました。
私はやはり、
ゼリーやスープなど噛まなくても食べられるものは重宝しましたね。
調子に乗ってちょっと贅沢な感じのものをいろいろ買い占めてみたり。
その他、
- プリン
- ヨーグルト
- スムージー
- アイスクリーム
デザート系はすすむすすむ。
抜歯前はさぞかし痩せるかと期待していましたが、逆にカロリー取ってしまいました。
とろとろの
おかゆ
は食べやすくておすすめではありますが、私は抜歯後の穴に詰まったら嫌だなとお米は食べる気にならず。
その感覚に関しては抜歯の数や位置などによって個人差があるかもしれませんね。
8.おわりに

永遠にネットを検索しては怖くて踏み出せなかった親知らず抜歯。
いざやってみると
早くやっておけばよかった!
の一言に尽きます。
抜歯後の痛みは
- 親知らずの生え方
- 歯科医の技術面
によって差がありますが、抜歯自体は
静脈内鎮静法ならほとんどの人が無痛
で終えることができます。
料金のことがあるので気軽に決められる方法ではないですが、
- 歯科が怖くて極度に緊張を感じる人
- すぐえづいてしまう嘔吐反射の人
にとっては静脈内鎮静法はとても効果的です。
歯科恐怖症の私は心からやってよかったと感じています。
とはいえ出来るだけ歯医者には行きたくないので、歯磨きは「より一層丁寧に」と心に誓いました。
電動歯ブラシは歯と歯茎に優しいソニッケアーを愛用中です。

私にはまだ左下に埋まっている親知らずが1本残っているので、もし抜歯の際はまた静脈内鎮静法を選びます。
親知らず抜歯について悩んでいる方、勇気が出ないという方に本当におすすめしたいです。
静脈内鎮静法、試してみる価値ありますよ。

